まずは捉えておきたい!環境問題の実情
温暖化、オゾン層破壊、大気汚染の問題は、簡単に言えば、産業革命以来の化石燃料や各種の化学合成薬品の処理空気が地球規模で飽和状態になっている問題である。
極限まで肥大化した生産手段、交通手段、消費手段により、ブレーキも制御もきかない状態に突入しており、地球が悲鳴をあげて警鐘を鳴らしている状態と言える。
局地的、業種的、特定薬品の問題でなく、世界的で歴史的であり、地球という生命体の存続に直結しており、極めて社会的、政治的問題でもあるのだ。
京都議定書、モントリオール議定書という形で、悪条件の進行への歯止めをやっきになって進めてはいるものの、成果はおぼつかないのが現状。エネルギーの革命的変革か世界的不況による生産と消費の減少以外の方法はないものか。
当面は法規制の強化と代替エネルギーの開発の併行、及びそこに関する競争が企業・国の生死をかけて進行するしかない。
現実に即して考えれば、各企業(生産手段)及び消費において、CO2削減、省エネの徹底化と効果をあげるしかない。見かけではなく、本当に成果を達成する方法、システムが求められていると言えるだろう。
『無駄にしているAタイプ』と『有効活用しているBタイプ』
(1)導入目的
法規制があるからやむなく最低限をやる。やった形をとる。やらざるを得ない所だけでお茶をにごす。社会的体面や横並び感覚でやる、補助に期待する。 | |
自社のエネルギー構造を改革する。改革により利益を生み出す。生産手段の検討・見直しを行う。ランニングコストの削減。企業価値の創造。競争力の強化。社運をかけて本気で取り組む。 |
(2)達成目標値
何となく想定。コンサルよりのアドバイスでとりあえず策定。法的要求。業界やマスコミよりの情報で策定。何もしないよりはよいとして策定。 | |
手間を惜しまず現状を徹底調査・分析を行う、生産ラインの単位エネルギー消費量×稼動実体。個別ラインと全体の統計。附帯ユーティリーの分析。通年の生産とエネルギー消費の分析。 |
(3)キーワード
節約・無駄の排除・もったいない。時間も生産手段も大切に使う。リサイクル。できる所から一つ一つ積み重ねていく。 | |
現状分析の上でシステム改造を行う。最重点項目策定―優先順位による計画策定。エネルギー回収・CO2削減の年次達成数値策定。投資回収年・費用対効果検証を初めから視野に。 | |
Aも必要不可欠であるが、Bの思想と具体的計画を核として、その上でAを組み込んでいく手法が、遠いようで最短で、かつ最大限の効果を得る方法である。 B抜きでAのみに集中すると森を見ないで木ばかり見ることになりかねない。本来の目的・目標から乖離することになりかねない危険もある。 |
(4)省エネとCO2削減への考え方
省エネはエネルギー商品のランニングコストの削減であり、エネルギー消費量及びCO2削減と必ずしもイコールではない。 | |
CO2削減はエネルギー自体の改善又は生産機器の効率改善により、エネルギーそのものの減少によって得られるものである。 1kgの水を80℃→10℃に冷却するエネルギーは一定である。同一熱源機による蓄熱移行は省エネであるがCO2は変更なし。高効率熱源機によりエネルギー全体の減少を達成すれば省エネとCO2削減が同時に達成される。 |
(5)対策の対象範囲
パートナー提案によりいろいろ。照明等の局所の多数展開が多い。 | |
空気調和、陽圧及び換気、排熱処理、照明、大気汚染空気処理、コージェネレーション、食品等冷却システム、熱回収、蓄熱、100u〜10,000u、局所〜全体、冷却・加温・除湿・加熱・乾燥・真空等、経営資産と言えるそのものが対象となる。 |
(6)一般的手法と問題点
<照明器具の取替え>
メタルハライド・水銀灯・ナトリウト灯・蛍光灯の違いと効果について問い合わせが多くある。器具交換による消費電力減、CO2減の計算による即効性を提案する傾向あり。 | |
器具交換自体は間違いではないが、
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<換気推進ポンプのINVタイマー制御>
INVにより出力調整をしたり、タイマー制御したりという効果の問い合わせが多くある。空調負荷の軽減による消費電力、CO2削減の計算上の効果自体は間違ってはいない。 | |
対象室の必要換気量と給排気対流検討されているか。OAとEAのバランスがとれているか。 その上での換気機器と制御が検討されているか。対象室に排熱部のある場合、排気の流れと給気・空調対流がチェック・検討されているか。ただ漠然と既設設置されている機器の稼動制御のみになっていないか。 対象室への用途、構造により基本的見直し、換気計画の策定が必要な場合が多く見られる。 |
<空調機器・冷熱源機器>
高効率機への取替え検討そのものは間違ってはいない。古い物を新規にするケースも同様。 | |
本体の空調設計がなされているか。温度、湿度、度合い、対流、内圧、換気、ゾーニング等。一般の顕熱負荷による負荷計算に基づく機器選定が多く、最大負荷をINVINV制御しているのが一般的。 ボイラー、チラー、ターボ等の高効率機器×INV制御は問題ないが、この時にエアハン等の熱交換器の検討がされていなかったり、搬送動力の検討が抜けているケースが多い。 又、エアコンビルマルチ空調機の高COP機自体はよいが、機器のもっている冷房全熱量の内、潜熱対応能力が少なく見かけだけのCOP改善となっている為。 直近の機種ほど室内の相対湿度が高いことが忘れられている。室内の潜熱負荷が無視できればよいが、新たに除湿機を導入するならば元も子もない。日本の対人空調で相対湿度は本来大きな要素でもある。 |
<コージェネレーション>
現状では広域の地域冷暖房は別として、工場単位の従来のコージェネは価値が創造できない。化石燃料と電気単価の移行でしかないから。 | |
排ガスボイラーによる蒸気の活用、又は排ガス冷熱機による冷温水の活用が十分にされる所であっても、それだけでは投資回収が困難なケースが多い。 |
<自然エネルギーの利用>
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太陽光発電、風力発電 → 直接的な費用対効果は少ないが、企業価値の向上や企業の価値観、防災上の価値、節税対策上の検討、国への補助行政のいかんによって検討される。 |
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<その他>
エネルギー源のチェンジや建屋改修(断熱、屋根、窯)も視野にいれる |
CO2削減と省エネの有効活用実例
(1)食品工場の冷却システム
対象 | 加熱殺菌処理後の冷却、保持 ニーダー、プレート熱交、サージタンク、真空ポンプ、他(6工場の内2工場)5200HR/年稼動 |
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既設方法 | 各ラインのチラー設備、排水処理工業用水(65円/m3) |
問題点 | チラー、工業用水が限界量、ランニングコスト大 |
テーマ | ランニングコスト減、工業用水の他への適用 |
調査・分析 | 各ラインの稼動実体調査、生産ラインの処理量=kg(m3)/ H及び処理工程。 処理時間及び加熱負荷・冷却負荷の特定 日負荷、月負荷、年負荷の特定と時間事の特定 熱源装置、消費電力、用水使用量(KwH/m3/H) 日稼動時間×日負荷量×時間帯構成 月間、年間の総負荷/工場全体のデマンド分析 負荷発生量と稼動時間帯及び負荷軽減時間帯の分析、最大負荷帯、最小負荷帯の特定 |
方法 | 水蓄熱/夜間蓄熱及びデマンド小時間帯の蓄熱 高効率冷凍機・熱交換器の採用 0〜2℃冷水製成 生産時に必要冷水供給プログラム策定(不要な循環、熱源機使用停止) |
効果 | デマンド軽減値 約125kw減 ランニングコスト 約430万円減/年 CO2 約65トン減/年 0〜2℃冷水処理により冷却時間短縮、品質レベルアップ、生産管理コスト削減の効果発生 |
(2)コーティング工場のVOC処理システム
対象 | コーターラインからのVOC排気処理 6048Hr稼動/年 コーター機 5ライン×3,000~10,000ppmC 600〜7000Nm3/4コーター |
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背景 | 大気汚染防止法、近隣の臭気対策、CO2削減 |
テーマ | VOC処理、省エネ・エネルギー回収、CO2削減の一体的実現 工場内対人環境の改善、エネルギー有効活用 |
方法 | 多機能チャンバー、可変濃縮システム、VOC処理マイクロガスタービン、排ガス蒸気ボイラー、冷却装置、酸化触媒燃焼装置 発電、製造蒸気の優先使用システム 生産−VOC処理 自動WV制御 |
効果 | VOC浄化達成95〜98% 発電275〜285kw 蒸気1.7トン/Hr 工場内外臭気処理 デマンド値軽減(正味約165kw) ランニングコスト減少約1370万円/年 CO2削減約458トン/年 燃焼方式(直燃、蓄熱、酸化触媒)のみの処理に比べ、ランニングコストCO2削減共に効果は極めて大 |
問題点 | 触媒毒含有VOC処理 VOC処理稼働率 塗布面積×スピード増によるppmC変動 |
(3)工場空調システム
対象 | 約5600uの食品工場 2160Hr/年 稼動 |
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問題点 | 顕熱負荷の多いゾーンがあり、除湿要求も大である為、EHP方式では効果少なく、デマンド値高く、ランニングコスト大 |
方法 | 粉塵発生ゾーンは、排水熱変オールフレッシュ方式採用、顕熱負荷+潜熱負荷 併用ゾーンは、排水熱変+除湿冷却システム採用 各ゾーン毎に陽圧条件・空気条件を策定 |
効果 | デマンド値 約200kw減 ランニングコスト 約860万円減/年 CO2 約210トン削減/年 |
(4)商業ゾーンの空調システム
対象 | 約2000uの販売ゾーン 1440Hr/年稼動 |
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問題点 | 消防法により間仕切り不可、オープンスペースにて使用、販売ゾーンに発熱負荷多数有り |
方法 | オールフレッシュ方式 夜間蓄熱方式+高効率熱交換機採用 デマンド値減など、蓄熱電気夜間料金によりランニングコスト減 サプライエアーはEHP方式に比べ低露点冷固供給可能な為、空調効果増 直膨夜間蓄熱の為、熱源機器の商品電力減 |
効果 | EDP方式と比較 デマンド値 約320kw減 ランニングコスト 約1,000万円減/年 CO2 約105トン減/年 |
(5)醸造工場の冷却システム
対象 | 蔵元、蒸米冷却、モロミ冷却、仕込水冷却、原酒冷蔵保管 |
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問題点 | 個別熱源処理を行っている。工程時間にタイムラグがある。 |
方法 | 1台の冷熱源とタンク冷水貯蔵の併用、順次使用プログラム 蒸米冷却=寒仕込問題等の0=5℃冷固供給INV制御(直膨熱変方式) 仕込水0〜2℃ 夜間〜終日製成保管 モロミ冷却 同情冷水分流冷却循環 仕込み終了後の原酒蔵冷却に熱源移行 |
効果 | 酒母、杜氏の技術と合いまって、高品質、通年品質の向上に寄与 熱源機の1/2減 デマンド減 |
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