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クリーンルーム CLEAN ROOM

サニタリー室の目的と機能

サニタリー室の目的と機能

サニタリー室

サニタリー室の目的は、作業員によるクリーンルーム内の汚染を防止するために、事前に最大限の人的洗浄を行い、かつ作業服、毛髪、持物のチェックと意識づけを行う事にあります。

動線、レイアウトの設定上一概には言えませんが、設備機能としてロッカー、スノコ、手洗器、アルコール消毒器、ジェットタオル、ローラー、姿見、靴箱、足洗浄ピット、エアーシャワーにより構成されます。

衣類乾燥機を設置する場合もあり、作業状況にあわせて靴入れもシート敷き二段仕様もあり、時にはサニタリー室そのものを陽圧準クリーン仕様とする工場もあります。稀なケースでは、単にダーティーゾーンとのブース仕切りのみで構成される場合もあります。

クリーンルームのレベルに対応して、サニタリー室の仕様は決定されるわけですが、設置目的は同一です。

問題は、運用マニュアルと目的意識の徹底にあります。空気に爪を立てる程ではありませんが、少し検討をしてみたいと思います。

サニタリー室

手洗は自動水洗で、水洗とジェットタオルの差動後、自動的にエアーシャワー扉が開となりクリーンルームに入室していく事は、今や一般的な手法となっています。

ただ、この自動サニタリー方式が設置されている事で、サニタリーの目的が達成されていると思い込んでいる事は無いでしょうか?

あるレトルト工場で、パルプ系の異物が製品に混入し、全品回収という事故が発生しました。調査の結果、異物はティッシュペーパーのカスで、直接の原因はサニタリー入室前に鼻をかんだ人が、ティッシュをズボンのポケットに入れた時、端切れがエアーシャワーで除去されずに持ち込まれたためでした。早朝の一連の入室サニタリ−の流れの中で、チェックが行われず予想外の事でした。この会社は①作業服はポケットの無いものに取り替え②二人一組でローラー掛けを行う事の徹底と、姿見チェックを行った後に手洗に移行する③エアーシャワーのHEPA能力を増設し、短時間でスムーズに処理をする。④入室後にアルコール洗浄を行う、以上のように改善をしました。別の工場では、エアーシャワーよりもむしろローラー洗浄を重視し、ローラーの形状、粘着マットの質を改善されています。いずれにしても人による異物の持込みを防ぐと共に、人と共に空気の流れで侵入する塵埃、虫等を遮断する目的意識が最も大切という事になります。

サニタリー室

その他に注意すべき事項として、いくつか検討してみます。

サニタリー室は、一般にジメジメしがちで通常は除湿管理に留意します。サニタリー室をカビ発生源にしない事が重要です。

ジェットタオルは理論的には殺菌システムですが、ドレンタンクの中は掃除されているでしょうか?

サニタリー室の床排水管内の洗浄や、塗床(塗料はカビの餌)のハクリチェックはされているでしょうか?

サニタリーブースの天井裏、外壁との空間、床巾木の隙間に異物の堆積はありませんか?

エアーシャワーは、プレ、HEPA共に定期的な洗浄交換は行われていますか?

吹出しルーバーは一般に20〜25m/sの風速があり、これでも体の表面に附着した髪はとれませんが、フィルターがつまれば風量は激減してしまいます。

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